秋麗
モスキート音と5分おきにけたたましく鳴り響くアラーム 少しの責任感 湿った空気の中最悪の気分で起きる朝
昨日できなかった洗濯 やればよかったと洗濯機から溢れんばかりの洋服を見て溜息が出る
こんなゴミみたいな日常を繰り返してそれでも私は他人のことを気にする余裕があるのでまだ追い詰められてはいないんだろうなとぼんやりと思う いざというとき用のロープ たまに首にかけてみてもなんとなく現実味が湧かない
ただなんとなくまだ私には逃げ場があるんだと明日も日常を生きていくであろう自分に対する誤魔化し
人の精神なんて案外脆いので騙されやすくもある そのまま何も考えずに、ぼんやりと自己満の哲学を頭の中で反芻して生きていけば当たり前のように陽は昇る
期待しないこと、すぐに諦めることができる人生はとても楽だ 何も考えずに済む
人のせいにするというのは案外楽なようで疲れるし、全部自己責任だということを念頭に置いておけば後始末も別に死ねばいいだけのことだし、後腐れがないし面倒も回避出来る
医療介護施設でぼんやりと老人達を眺める
外はのどかな風景 変わらない 秋の風が吹いている
普通に二足歩行ができる人もいれば、車椅子でないとダメな人もいる
赤ちゃんを模した人形を大事そうに抱えて、時折顔を覗いて頭を撫でているなんて人もいるし、その皆が生きている
何が幸せなんて形が無いから分かりはしない
そういえば小学生の時は福祉委員に入っており、近所の老人ホームに紙芝居をやりに行ったりしたことを思い出した
しわくちゃの手に触れるのが怖くて、1歩下がって接していた どうしても偽善という言葉が頭にチラついて、うまく笑えずに、時間を無駄に消費している感覚
蔓延る死の臭い 時が停滞しているような錯覚に陥る
どうしても人間性が無くなっていく老人を見ているのが苦手だ 目を逸らしたくなる
お腹がすいた
焼肉が食べたい